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面接者が何も言ってくれないのはなぜ?
~内観面接者は随行人であり、指導者ではない~

 内観法において、面接者が何もアドバイスを加えず、ただ内観者の話を傾聴するというアプローチには、いくつかの重要な理由と意義があります。この方法が採用される背景には、内観法の本質的な目的とプロセスに関連する重要な要素がいくつかあります。

1. 内観者自身の自己発見を促すため

 内観法の根本的な目的は、自己観察と自己発見です。内観者が自分の行動や過去の出来事を振り返り、客観的に観察することが重要です。もし面接者がアドバイスや解釈を加えてしまうと、内観者が自分自身の内面を深く見つめるプロセスが損なわれる可能性があります。面接者が何もアドバイスを加えないことで、内観者は自分の思考や感情に対して自由に、そして率直にアクセスできる環境が整います。

 内観法は、内観者が自分のペースで気づきや理解を深めることを大切にしており、そのプロセスで得られた気づきや洞察は内観者自身のものであることが重要です。面接者が余計な介入をせず、内観者の話をただ傾聴することにより、内観者は自分の内面に深く向き合うことができます。

 

2. 評価や判断を避けるため

 内観法の基本的なアプローチは、感情や思考に対して評価を加えないことです。内観者が自分の過去の行動や思考を振り返るとき、評価や解釈を避け、事実だけを無評価で観察することが求められます。もし面接者がアドバイスや意見を加えると、内観者がその評価に影響されてしまい、自己観察において感情的なバイアスが入る可能性があります。

 面接者がただ傾聴することによって、内観者は自分の言葉や思考をそのまま表現できるため、評価に縛られずに自由に自分の内面を観察することができます。これにより、内観者が本来の気づきを得ることが可能になります。

3. 内観者の自律的な気づきを促進するため

 内観法は、内観者が自己反省を深め、自己改善を目指すことを促進する方法です。その過程では、内観者自身が自分の行動や反応に対する気づきを得ることが非常に重要です。面接者がアドバイスを加えることなく傾聴に徹することで、内観者は自分の内面の声に耳を傾け、自己成長を自らの力で実現することが促進されます。

 内観法においては、内観者が自分の思考や行動を深く掘り下げ、その理解を自らのものとして受け入れることが成長の鍵です。面接者はそのプロセスを支える役割を担い、内観者が自律的に気づきを得る手助けをします。

4. 共感と理解を示すため

 面接者は、内観者の言葉に対して評価やアドバイスを加えるのではなく、共感的な聴き手としての役割を果たします。内観者が自己の過去や行動を語る際に、その体験に対する理解と共感を示すことが、内観者にとっては重要な安心感をもたらします。

 共感的な傾聴によって、内観者は自分の感情や考えを自由に表現することができ、そのプロセスが自己理解を深める一助となります。面接者がアドバイスを与えず、ただ聴く姿勢を取ることは、内観者が自分の感情に対してオープンであり続けるために重要な要素です。

 

5. 内観者のペースに合わせるため

 内観法では、内観者が自己観察を進めるペースを尊重することが大切です。無理にアドバイスや方向性を与えると、内観者が自分のペースで思考を深めることが難しくなる場合があります。面接者がただ傾聴することで、内観者は自分のペースで内面に向き合い、必要な気づきを得ることができます。

 また、内観者が自己反省を進める過程は、人それぞれ異なり、時には自分の思考に迷ったり、答えを出せない時期もあります。面接者はその過程を尊重し、無理に結論を急がせることなく、内観者が自らの気づきに辿り着けるようサポートします。

 

 

まとめ

 内観法における面接者がアドバイスを加えず、ただ内観者の話を傾聴することは、内観者が自己発見と自己理解を深めるためのサポートとして非常に重要です。評価や解釈を加えずに傾聴に徹することで、内観者は自分の内面に対して自由に、率直に向き合うことができ、自己反省を深め、成長するための気づきを得ることができます。

沖縄内観研修所(平山)

TEL:098-948-3966
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